コラム - 京食の達人

2012年1月23日
“いただきます”と“感謝の気持ち”

「食べることは,生きること。」
「生きることは,食べること。」

私たちは,食べ物を食べることなしで,生きていくことが出来ません。食べていくことで,私たちは,生きていくことができるのです。では,食べ物とは,いったいどんなものなのでしょうか?
それは,もともと,すべて命の宿ったものなのです。牛肉や豚肉,鶏肉などのお肉,鮭やサンマ,イワシなどのお魚,野菜や果物,穀物など,どれをとってみても,すべてもともと生きていて,命が宿っていたものなのです。私たち人間は,それらの命をいただいて,生きているのです。

私たちが食事をする前に言う「いただきます」。なぜ,私たちは,「いただきます」と言って,食事をするのでしょうか?
それには,ふたつの理由があります。ひとつは,先ほどお話したように,生きているものの命をいただいていることに対する感謝の気持ちです。そして,もうひとつは,食べ物が,食卓に並ぶまでに関わった人たちに対する感謝の気持ちです。食べ物は,勝手に目の前の食卓に並んだのではありません。野菜や果物,穀物などを作ってくれた農家の方,魚を取ってくれた漁師さん,牛や豚,鶏などを育ててくれた畜産の人たち。それだけではありません。その食べ物を,トラックに積んで運んできてくれた人,お店に並べて売ってくれた人,そして,その食べ物を調理してくれた人。本当に,たくさんの人たちの手を通って,その食べ物が,今,目の前の食卓に並んでいるのです。もし,この中の,一人でもいなかったら,私たちの目の前に,食べ物が並ぶことはないのです。私たちは,そのことに感謝の気持ちを持たなければなりません。だから,「いただきます」と言って,食事をいただきます。そして,好き嫌いせず,残さず食べる。最後に,「ごちそうさまでした」と言う感謝の言葉で,食事を終えるのです。

私は,そんな感謝の気持ちを持ちながら,毎日,料理を作っています。


今回の達人

“いただきます”と“感謝の気持ち”

山ばな平八茶屋 若主人 園部晋吾さん

京食の達人

このコラムについて
京都にゆかりの「食の専門家」や「食にまつわる職人さん」からの発信です。
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