コラム - 京食の達人

2011年12月25日
回転寿司とリスクコミュ二ケーション

入れ替わり流れてくる回転寿司のお魚の名前を孫と当てっこしながら思いました。新聞やテレビは食品の安全性に関して数値を基にした情報(リスク)を伝えています。化学物質に対しては科学的根拠を基に,「毎日一生涯食べ続けても全く健康に影響しない量(一日許容摂取量)」が定められ,妥当な基準として受け入れられてきました。しかし,未知の事象には他の類似例から判断される「安全」の暫定値が適用されるも「安心」出来ないのが国民の心情です。この模索の社会にあっては,情報(他力)に頼るだけでなく,自らがリスクを回避する工夫も必要です。健全な食生活は,「多様な食品を摂取する(1日30食品以上のローテンション)ことで,リスクは分散・軽減され,健康は維持される」のが鉄則です。食生活の安全の確保は,環境由来リスクの回避を思うと同時に,メタボリックシンドロームや糖尿病に代表される生活習慣病に蝕まれる現実も直視することが大切です。

今回の達人

回転寿司とリスクコミュ二ケーション

京都市食育推進協議会会長 小川 正さん

専門:食品栄養学

京食の達人

このコラムについて
京都にゆかりの「食の専門家」や「食にまつわる職人さん」からの発信です。
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