京都市の食育

高齢期の食事のポイント

1 低栄養状態は危険です

健康に高齢期を迎えられた方の多くは,食事というと高血圧や糖尿病,脂質異常賞など,病気の予防をまず考えてしまいがちです。
しかし,高齢期はこれらの病気を予防する食事が,必ずしも良いとは限りません。かえって栄養状態が悪くなり(低栄養),その結果,病気に対する抵抗力が落ちて,からだをこわしてしまうことさえあります。

2 「寿命の延び」と「食生活」の関係

日本は現在,世界有数の寿命国となっていますが,100年前の平均寿命は約40歳,50歳をこえたのは昭和22年のことでした。この100年でおよそ2倍に伸びています。
その要因のひとつとして,戦後の食生活の変化があげられます。戦後,米類をとる量が減り,魚に加えて牛乳・乳製品,肉類,卵類等の動物性食品と油脂類をとるようになって,栄養状態が大幅に改善されたことが大きく関係しています。
年を重ねると,肉や油脂類はひかえ,いわゆる「粗食」がよいと信じている人がいますが, 実際には,野菜や魚に偏らず,他の動物性食品(肉など)や油脂類をきちんと食べ,栄養状態のよいからだを保つことによって「元気で長生き」が実現できるのです。

3 元気で長生きする食事のポイント

  1. 3食規則正しく食べて,欠食しない。
  2. 主食・主菜・副菜をそろえて,バランスよくとる。
  3. 動物性たんぱく質を十分にとる。
  4. 肉と魚は1:1くらいの割合で食べる。
  5. ほどほどに油脂分もとる。
  6. 牛乳は毎日200mlくらい飲むようにする。
  7. 野菜は緑黄色野菜や淡色野菜などいろいろな種類を毎日食べる。
  8. 食欲のない時は,おかずを先に食べ,ご飯を少し残す。
  9. 塩分をひかえて,味付けに工夫する。
  10. おやつは内容を見直し,食べ過ぎに注意する。

4 食事バランスをチェックしてみよう

バランスよく食べられているか,食事バランスガイドでチェックしてみましょう。

>> 食事バランスチェックへ

5 うす味調理の工夫

塩分の摂り過ぎは高血圧の原因にもなります。塩辛いものはできるだけ控え,味付けもうす味を心がけます。

  1. 素材のもち味をいかす 例:新鮮な食材・旬の食材
  2. こげ味のうま味,色を利用する 例:焼きおにぎり,焼き魚
  3. 香りをいかし,風味を利用する 例:みつば,青ねぎ,ごま,のり,ピーナッツ
  4. 酸味を上手に使う 例:酢の物,柑橘類
  5. うま味をいかす 例:かつお・昆布・しいたけなどのだし
  6. 塩味を強く感じさせる工夫をする 6 例:汁気はできるだけ少なめに仕上げる。一品を重点的に味付けする。

6 鉄・カルシウムの不足にならないように

食事の量が減っても,鉄やカルシウムの必要な量は若い頃とほぼ変わりありません。不足のないように心がけましょう。

(1)鉄

■働き

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■こんなことに気をつけましょう

  • 動物性たんぱく質の肉・魚と一緒にビタミンCの多い野菜を一緒に食べると,ビタミンCが鉄の吸収率を上げる。
  • 胃腸の働きを整え,よく噛んで食べる。
  • コーヒー・茶類に含まれる成分が鉄の吸収を妨げるので,飲みすぎには注意する。

(2)カルシウム

■働き

> 栄養素の説明ページへ

■こんなことに気をつけましょう

  • カルシウムの吸収のよい,牛乳・乳製品をとるように心がける。
  • 加工食品・インスタント食品は控える。
  • 毎日「歩く」などの運動を心がけ,骨に負荷を与えて丈夫にする。

7 体調が悪いときの食事

ケース1 便秘のとき

  • 食事時間を規則正しくする。決まった時間に排便の習慣をつける。
  • 朝一番にコップ1杯の水を飲む。
  • 果物・芋・豆・野菜・海藻・きのこ類を増やし,適量の油も使ってみる。

ケース2 下痢をしたとき

  • 水分を補給する
  • よく噛んでゆっくり食べる
  • 消化のよい糖質の食品(お粥,うどん,芋類など)を食べる。

ケース3 風邪をひいたとき

  • 単品で栄養価の高い料理を食べる 例:雑炊,茶碗蒸しなど
  • 消化のよい食品を食べる 例:糖質の多い食品,食物繊維の少ない食品
  • からだの温まる料理を食べる 例:雑炊,おじや,スープ,しょうが湯
  • さっぱりした料理 例:大根おろし,おろしりんご
  • 口当たりのいい食品 例:プリン,ヨーグルト

8 水分補給について

体の中での水分の役割は,血液やリンパ液などの体液の濃度やホルモンの分泌の調節をはじめ,発汗による体温調節などの働きをしています。また,栄養分を運搬したり,いらなくなった老廃物を排出したりもします。
「のどが渇かないから」とか「トイレに行くのが面倒だから」といって,水分を控えていると脱水症状になり,血液が濃縮されて脳の血管に血栓ができやすくなり,脳卒中を引き起こしやすくなります。また,夏場には熱中症の心配も出てきます。
普段の食事以外で1~1.5リットル(コップ5~8杯程度)の水分補給を心がけましょう。

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