コラム - 食のつれづれ日記

2021年9月22日
Vol.43 京都おいしい減塩プロジェクト応援企画 第4弾~香りを活かして減塩~京都市管理栄養士

体調がすぐれないとき,鼻の調子が悪い時に味がわからなかった経験をされたことはありませんか。COVID-19もにおいや味がわからなくて,受診したら発病したことがわかったと野球選手のニュースも話題になりました。

【味に香りは関係する?】

味覚と嗅覚は,関連性があることはよく知られています。例えば無果汁のオレンジジュースには,ショ糖や酸味料,オレンジ風味の香料を加えるとオレンジ味が再現されます。でも鼻をつまんでこの無果汁のジュースを飲んでも何の味かわからなくなってしまいます。オレンジ風味の香料があることでオレンジ味になるのです。

【かつおだしの香りで減塩】

さて,今回のテーマ香りと減塩ですが,こんな実験があります。1)卵豆腐をかつおだしで作ったものと風味のないうまみ成分の溶液で作ったものを食べ比べました。普通の味つけ(塩分0.9%)ではどちらも美味しく食べられましたが,少し薄味(塩分0.75%)にするとうま味成分の溶液では美味しく感じられなかったのに対し,かつおだしで作ったものは美味しさが損なわれなかったとの報告があります。かつおだしの香りは,塩味を減らしても美味しく感じられる効果があるようです。

【醤油の香りで減塩】

醤油の香りも同様です。2)3)醤油の香りを海外の研究者が実験しています。日本人には,お馴染みの醤油ですが,外国の方でも醤油の香りは,舌で塩味を感じると報告されていました。例えば,屋台の焼きとうもろこしのにおいは,醤油の香ばしく焼き上げた香りで美味しそうに感じますね。魚や肉を焼くときに,最後にさっと醤油をぬって香ばしく焼き上げると薄味でも美味しく食べられます。

今回ご紹介する減塩レシピはこちらです。

鮭の味噌マヨネーズ焼き

味噌にマヨネーズを加えて,塩分を減らしました。マヨネーズのまろやかさと香ばしく焼き上げることで薄味でおいしく調理できます。鮭以外に鶏肉や豚肉も良く合います。
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トマトとパプリカのつけ浸し

めんつゆにレモン汁を加えることで塩分を控え爽やかに仕上げました。レモン汁の代わりにゆずやすだちなど他の柑橘類も良く合います。青しその香りも減塩の手助けをしてくれます。
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次回は,第5弾最終回です。「加工食品との上手な付き合い方」です。
お楽しみに♪

 

参考文献
1)日本調理科学会誌Vol.44,No.2,191~192(2011)だしの風味と減塩同志社女子大学生活科学部食物栄養学科調理科学研究室 真部真里子
2)日本味と匂学会誌Vol.22,No.2,PP.151~156 2015年8月塩味・うま味増強香気成分による減塩食の嗜好性改善 九州大学・大学院農学研究員 下田満哉
3)JuyL n  L and  Maxwell  B  J : Potentia lMechanisms  of Retronas aOldor Referra lto  the Mouth .  Chemical Senses 36283 −289 (2011 ).

食のつれづれ日記

このコラムについて
食に関わる職員等が日頃の「食のお仕事」や「食への想い」をリレーで綴ります。
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